退会する=入会しているのとんでもロジック(論理)
前回はコチラ☛熊本PTA裁判について①
黙示の承諾とは?
今回の争点となったのはPTAの発行した冊子を受け取って、それに異議を述べずに
会費を納入したことが「黙示の承諾」、つまり自ら加入をした(暗黙のうちに)
という点です。
争点とは別に重要なポイントとして、被告側は「任意加入である前提」については
疑っていません。つまり、「PTAへの強制加入は適法である」とは主張しなかった
のです。このことはこの裁判において「PTAへの加入は任意である」という
法的性格をこれまた暗に認めることになったのです。
熊本地方裁判所判決
2016年2月25日、熊本地方裁判所は原告の請求を棄却する判決を下しました。
裁判所は、PTAへの加入について、必ずしも書面による契約が必要ではなく、
黙示の意思表示によっても有効に成立し得るとの法的判断を示したのです。
民法上、保証契約や遺言など特定の契約類型を除いては契約の成立に書面を
要件としていないことがその根拠となりました。
その上で、原告がPTA発行の冊子を受領し、PTA会費と明記された納入袋を用いて
会費を納入したという一連の行為を重視しました。
要するに、袋にも会費って書いてあって納入するときにおかしいなら気づくでしょ
と、そういう理屈ですね。

やっぱ裁判ってすごい!笑
確かにそういわれればそうだと思ってしまう自分がいます笑
東京都立大学教授の木村草太氏は、裁判所が会費返還請求を認めることに慎重であった背景には、同様の訴訟が全国で頻発することへの懸念があった可能性も示唆しています。
まとめるとこの裁判によって
・PTAは任意加入の団体である
・会員は入会を暗黙に承諾している
という2点が支持されるかたちとなりました。

控訴と福岡高等裁判所での和解
熊本地方裁判所の判決を不服とした原告は、福岡高等裁判所に控訴しました。そして、
2017年2月10日、福岡高裁において両者間の和解が成立しました。
和解条項の核心は、被告PTAが将来にわたる運営改善を約束した点にあります。
主要な和解条項は以下の通りです。
- PTAの情報提供義務の明確化:被告PTAは、「PTAが入退会自由な任意団体で
あることを将来にわたって保護者に十分に周知すること」を約束した。これは、
PTAの法的性格と会員の権利について、保護者が明確に認識できるように情報提供を
行う責任をPTAが負うことを意味する。 - 非任意的な加入及び不当な退会妨害の防止努力:被告PTAは、「保護者がそうと
知らないまま入会させられたり退会を不当に妨げられたりしないようPTA側が
努めること」を約束した。これは、上記の情報提供義務を実効性あらしめるための
具体的な努力目標であり、入会手続きの透明化や退会手続きの円滑化を促すものである。 - 原告による請求の放棄:原告は、本件訴訟における金銭的な請求(会費返還や損害賠償)を
放棄した 。 - 訴訟費用の各自負担:訴訟にかかった費用は、原告及び被告PTAがそれぞれ負担することとされた

争うのはやめてこれからの人たちが困らないようにしましょう
という、ものすごい前向きな和解だと感じます。
裁判が与えた影響
一番はPTAは任意加入の団体であるという原則が伝わったことです。これにより、
ほとんどの団体が問題があることを自覚したに違いありません。
また、もう一つは地方自治体や教育委員会の姿勢にも影響を与えたということです。
PTAに対しては慎重な態度だったのが、各自治体、教育委員会が指針、方針を発信するように
なりました。
裁判が与えた影響は非常に大きく、しかもその影響は誰にとっても良い影響だったと
言えるかもしれません。
まとめと考察
実際にPTA役員としてPTAに携わっている身としては、非常に重要な問題であるという認識は
ありますが、ボランティアで参加しているメンバーに組織改革を手伝わせることは
非常に難しいと感じます。(ただでさえ負担なのに)
というか、日本PTA全国協議会は会員一人当たり10円の会費を単位PTA=各学校から
毎年おさめられているんだからこういうときにこそ予算つけて改革の支援するべき
なんじゃないんですかね?
上部組織のお金がいったい何に使われているのかわからないことを憂いながら
このお話をまとめたいと思います。
読んでくださってありがとうございます!


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